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世にも奇妙な平常点②


 さて、今回は平常点の一つに挙げられる「授業態度」について考えていきましょう。

 授業態度は当然のことながら、授業をまじめに受けているか、授業と関係ないことをやっていないか、また授業中に居眠りをしていないか、などを考慮して点数化します。

 

 私がよく考えるのは、授業中にぼーっとしたり、居眠りをしたりする原因はどこにあるのか?ということです。私はその大きな原因は、授業をする教師にあるのではないかと考えます。

 魅力的な授業でなかったり、聞いてもタメにならない授業だったりすると、生徒は聞く気にはならないでしょう。

 しかし、生徒がそうなってしまう原因を、自身の授業に求めずに、生徒にばかり求めてしまうことがとても多いように感じます。

 

 一方で、生徒も平常点を稼ぐために、熱心に授業を聞く素振りを見せたり、教師の顔色をうかがったりと、本来の学問とはかけ離れたところで駆け引きが行われていることが多いように感じます。これが正しい姿だとは全く思いません。

 

 特に授業態度の評価には教師の主観が大きく影響するでしょう。

 

 以前こんなことがありました。

 私が塾で教えていた頃の話ですが、1学期の音楽の評定が2だった生徒がいました。

 その生徒は夏から入塾をしてきて、成績もぐんと伸び、地域の2番手の公立高校が狙える成績になりましたが、評定が足りませんでした。この地域は公立高校入試に評定の点数も必要になるために、なんとしても2学期で評定点を上げる必要があったのです。

 そこで彼がとった方法は、音楽の授業が終わったあとに一人教室に残り、「ポンポン…」とピアノの鍵盤を叩くことだったのです。ちなみに、彼は耳にピアスを開けるような生徒でしたから、教師からはよく思われてなかったでしょう。

 しかし音楽の先生は、「ピアノに興味があるの?」と彼に聞き、彼は次の時間の授業を受けずにピアノのレッスンを受けたのです。

 そして、2学期の音楽の成績は4にあがりました。

 彼が教師に好かれるような生徒を演じた結果でした。

 

 このように、授業態度の点数化は平常点の中でも、一番の問題点だと思います。

 授業中の生徒の態度は、まずは教科担当が自身の授業を見つめなおすべきですし、教師の顔色をうかがい、気に入られるような生徒を作ってはいくないと思います。

 

 ですから私は授業態度を点数化しません。それでも生徒は熱心に授業を聞いてくれます。

 授業態度ではなく、学力で勝負をしてくれます。そのための努力を彼らはやってくれています。

 

 授業のやり方次第で、生徒は変わってくれます。

 平常点を脅し文句にする必要はありません。